糖尿病の猫は
とても痩せる。どんどん痩せていく。なでる手触りはごつごつだ。
身体中骨だらけで、体重も軽くなった。
ひだるいのか、しょっちゅうこんな風に寝転ぶ。
頭をなでてやってもたいして反応はない。
それでもとにかく空元気を出して、笑顔を作り、自分を鼓舞して
「ルチア〜もっと食べな〜お水ばっかり飲んでないでさ〜」
できるだけ機嫌の良い声で話しかける。
ソファの後ろ、陰にちんまり座りいくら呼んでも出てきてくれないこともあった。
猫は天に召される時、人の目につかない場所へ行くと言うでしょう?
もしかして、お別れなのか、と
そんなのはいやだ、と
何回も泣きながら猫の名前を呼んだ。
無理やりは避けたい、引きずり出したりはせず、そのままほっておくと、なんとなく出てきた。
そして、頭を床にトンと起き、お尻をつけて横たわる。
その時ゴツンと腰骨が床にぶつかる音がするのだ。
絶望かまだ希望があるのか、どちらの音なのか。
どちらにしろ、何度聞いても悲しい音だ。
この頃は
インスリン 1単位
エサ 20グラム
体重 2.5キロ
こんなコンディションだった。