
わが家の猫の糖尿病日記です。
インスリン、シリンジ、アル綿…
注射器を日常的に使ったことはなかった。
猫に注射しなければ死んでしまう、と最初の頃はグダグダながらも必死の必死で注射をしていた。
だいたい、血液検査とか、ワクチン注射とか、注射されるばっかりで、自分が注射する方になるなんて思ってもみませんでしたよ。
猫にインスリンを一日2回注射する。プロジンクという薬を、動物用使い捨てシリンジと呼ぶ注射器で行う。
個別包装になっているシリンジのビニールをむくのがもう怖い。
注射器を持つのもビクビクだ。
オレンジのキャップがとれないように、そっとつまんでテーブルに置く。
アルコール綿、アル綿と呼び方だけはなんだかプロみたい。
70%のアルコールに浸したカット綿をピンセットでつまんで出す。
あ、何か小さなお盆があるといいなあ、と思う。
いつのまにかわが家ではなんとなく、この小皿にアル綿とシリンジを乗せている。
インスリンを注射するタイミングは
食事前だ。
最初の頃の猫は体調最悪で、エサをほとんど食べてくれなかった。
エサを食べずにインスリンを注射すると低血糖になってしまう。
なんとかエサを食べさせようと、お湯でふやかして美味しそうなにおいを出したり、カリカリをしっかりお皿に盛って見た目効果を狙ったりした。
プロジンクは繊細な薬だ。
冷蔵庫からそっと出して、分離している薬液をコロコロとそっと混ぜる。
乱暴に扱ってはいけない。
冷蔵庫のドアポケットに入れるのは大NG。開け閉めの刺激で薬液が壊れてしまうから。
動かない場所に鎮座ましましてもらう。
ゆっくり混ぜて白濁したプロジンクをシリンジで吸う。
空気が入ったら軽く指ではじく。
さささっと逃げようとする猫を捕まえて、膝に抱く。
逃げないように力が入る。
ルチアはおびえる。
かわいそうに。
準備は不足だ。いろんなものに手が届かない。
びしょびしょのアル綿を猫の肩甲骨の辺りでごしごしと消毒する。
シリンジのオレンジキャップがなかなかはずれない。
猫の皮下をつまむ。震える手。
注射針がユラユラ迷っているように震える。
ぷつりという感触。
ああ、今皮膚に針ぶっ刺してる!
正直、きもいこわいきもい。
シリンジを少し引くと戻った。陰圧になり、きちんと皮下に入っている証拠だ。
そのまま、薬液を注射する。
針を抜くと、背中がびしょびしょの猫は私の膝から逃げ出す。
私はとてつもない一仕事を終えた、疲れた気分で猫に餌をやる。
全然食べない!!!!!
これを1日2回?

嘘でしょ?